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折り紙構造の海藻養殖が外洋へ、流れを抑える設計が炭素固定とブルーカーボンの採算を変える

折り紙構造の海藻養殖が外洋へ、流れを抑える設計が炭素固定とブルーカーボンの採算を変える

ニュースの概要

中国科学院の研究チームが、折り紙の発想を取り入れた外洋向けの海藻養殖システム「Seaweed OAS」を紹介した。部品を組み合わせるモジュール型で、外殻と中心部が局所的な流れを弱め、海藻が付着する面を確保する。さらに、ゆっくり溶け出す栄養分を保持する仕組みも備える。シミュレーションでは、流速が秒速2メートル未満の条件で、球状の比較モデルに対して適した生育空間が17倍に広がった。6基を最適に配置した場合は、1基あたりの適した生育容積が2.1倍になったという。実海域での検証結果ではなく計算上の成果である点は、押さえておきたい。

引用元: 折り紙構造の海藻養殖システム、外洋での大規模炭素固定に道(Newswise)

分析・見解

沿岸では育つ海藻が外洋で育たない、流れと栄養の壁

海藻養殖は沿岸の穏やかな海で発展してきた。ところが沿岸は漁場や航路と重なりやすく、広げられる面積に限りがある。そこで沖合に目が向くのだが、外洋には二つの壁がある。一つは波と流れが強く、海藻が引きちぎられたり、施設が壊れたりすること。もう一つは、表層の栄養分が乏しい海域が多く、海藻が十分に育たないことだ。

Seaweed OASはこの二つを同時に狙う。外殻と中心部の組み合わせで流れを局所的に弱め、付着面を確保する。栄養分は徐放性(=ゆっくり少しずつ溶け出す性質)のものを内部に保つ。流れを弱める役割と、肥料を逃がさない役割を、同じ構造に持たせた点が設計の核心である。

秒速2メートル未満で17倍、数字が示すものと示さないもの

今回の17倍は、球状の比較モデルと比べた、適した生育空間の広さである。海藻の収量そのものではない。また、秒速2メートル未満という条件つきの計算結果であり、台風や強い黒潮のような荒れた条件がそのまま含まれるわけではない。数字は設計の方向性が正しいことを示すが、事業の採算を保証するものではない。

目を引くのは、6基を最適に配置すると1基あたりの適した生育容積が2.1倍になった点だ。単体の性能だけでなく、並べ方で性能が変わる。つまり、構造物同士が互いの流れを和らげ合う可能性がある。養殖場を部品の寄せ集めではなく、一つの群として設計する発想は、大規模化に直結する。

折り紙という発想が養殖施設にもたらす現実的な利点

折り紙は一枚の面を折って立体にし、また畳める。この性質は海の施設にとって実利がある。運ぶときは小さく、設置するときに広げられれば、輸送費と作業船の負担を減らせる。部品を組み合わせて増減できる構造(=モジュール型)なら、一部が壊れても交換でき、海域の条件に合わせて基数を調整できる。

ただし、折りたたみ構造は可動部が増えやすく、塩分や生物の付着で動きが悪くなる懸念もある。長期の耐久性は、陸上の試験や小規模の海域試験で確かめる段階だ。日本でも養殖施設は台風で被害を受けやすく、同じ論点が当てはまる。

炭素固定の価値は、海藻をその後どうするかで決まる

海藻が育てば炭素を取り込むが、それが長く海に残るとは限らない。収穫して食品や飼料にすれば、炭素は比較的早く大気に戻る。深海へ沈める、あるいは素材として長く使うなど、固定の行き先を設計して初めて気候対策になる。外洋養殖は規模を稼げる反面、回収と輸送の手間が増え、そこが次の論点になる。

測定の問題もある。外洋では海藻の流出量や分解量を追うのが難しく、取り込んだ量をどう数えるかで評価が大きく変わる。日本のJブルークレジットのように、算定方法を定めた制度でも、外洋養殖への適用は今後の課題になるだろう。

ビジネスへの影響

養殖事業者が今から見ておくべき三つの指標

実務で見るべきは、第一に流速の条件である。自社の海域で、年間を通した流速と最大値がどの程度かを把握しておくと、こうした技術が使えるかを判断しやすい。第二に、設置と回収にかかる作業の手間だ。第三に、栄養分の補給方法である。徐放性の肥料は、海への負荷という面で説明責任も伴う。

漁業者との関係も欠かせない。外洋とはいえ、漁場や航路と無縁ではない。漁業との共存の考え方を踏まえ、早い段階で協議する体制が要る。

炭素クレジットを狙う企業は、出口の設計から始める

排出量の相殺を考える企業は、海藻の育ち方よりも先に、収穫後の行き先と測定方法を確認したい。クレジットとして認められるには、取り込んだ量を第三者が検証できる形で示す必要がある。この仕組みはMRV(=測定・報告・検証)と呼ばれ、外洋では特に難しい。

現時点では、このシステムは計算上の成果にとどまる。購入側は、実証の進み具合を段階ごとに見て、小さな契約から始めるのが堅実だ。価格だけで比べず、算定の根拠が公開されているかを条件にするとよい。契約書には、実証が計画どおりに進まなかった場合の扱いも書き込んでおきたい。

小さく試して、六基ほどの群れで効果を確かめる

今回の研究が示した6基という単位は、試験の規模として現実的だ。まず数基で流れの弱まり方と海藻の付着を実測し、その結果を計算と照らし合わせる。ずれが小さければ、基数を増やす判断材料になる。大規模化を急ぐより、計算と実測の差を縮める作業のほうが、投資の失敗を減らす。あわせて、設置から回収までの費用を1基あたりで記録しておくと、事業計画に使える基礎データになる。

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